文化財ニュース 若宮遺跡の発掘調査報告書を刊行しました【令和6年2月8日掲載】

文化財を適切に保存し、次の世代へ引き継いでいくため、日々文化財の調査を進めています。

近年実施した文化財の調査や遺跡の発掘調査について紹介します。

若宮遺跡の発掘調査報告書を刊行しました

若宮遺跡は県道川越日高線「女影」交差点を中心に広がる奈良・平安時代の遺跡です。遺跡の中央を鎌倉街道伝承路が南北に通っており、遺跡には女影廃寺を含んでいます。これまでの調査によって、寺院の屋根にふかれていた瓦や、「寺」と書かれた墨書土器(ぼくしょどき:墨で文字や記号が書かれた土器)などが出土しています。出土した遺物の一部は、市指定文化財となっています。

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竪穴住居跡内の遺物出土状況

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五芒星を墨書した土器の出土状況

今回の調査は「女影」交差点の南東にあたる場所で、遺跡の南側を流れる下小畦川へ向かって緩く下りる斜面での調査となりました。

2軒の竪穴住居跡を調査し、1軒の竪穴住居跡からは須恵器の大型のかめ、須恵器の坏などの土器の破片が大量に出土しました。

大量に出土した土器の中には、墨で五芒星(ごぼうせい)が書かれた土器がありました。発掘調査終了後、出土した土器を洗浄していくと、五芒星が書かれた土器が合計11点出土したことがわかりました。

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五芒星を墨書した土器

五芒星が書かれた土器は日高市で初めて出土しました。五芒星は陰陽道や修験道で五行(木・火・土・金・水)を象徴する記号とされ、安倍晴明が用いていたことでも知られています。全国的に見ても五芒星を墨書した土器の類例は少なく、11点もまとまって見つかる事例は非常に珍しいと言えます。

ちなみに、若宮遺跡で見つかった五芒星墨書土器は8世紀半ばから後半(西暦780年前後)のもので、安倍晴明の生きた時代より200年近くも古いものです。

詳しくは刊行した報告書をご覧ください。市立図書館で閲覧することができます。また、下記ページからインターネット上で報告書を閲覧することもできます。ぜひご覧ください。

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更新日:2024年02月08日