第4回日高市地域公共交通協議会の会議結果
会議結果は次のとおりです。
第4回日高市地域公共交通協議会会議録
日時
令和6年8月30日(金曜日)午後1時30分から3時30分まで
場所
日高市役所301会議室
公開・非公開
公開
非公開理由
なし
出席者
久保田会長、金子職務代理、鈴木委員、山岸委員、小谷野委員、山下委員、高木委員(代理:坂井氏)、杉本委員(代理:小山氏)、嶋田委員、武藤委員、関根委員(代理:金川氏)、藤田委員、美濃浦委員、江頭委員、守谷委員、長岡委員、田中委員、松尾委員、小嶋委員、後藤委員、鹿山委員、松川委員、坂巻委員、古本委員、野々宮委員、木村委員
欠席者
村上委員、原島委員
説明員
危機管理課長、交通安全・防犯担当主幹、交通安全・防犯担当主査
事務局
総務部長、危機管理課長、交通安全・防犯担当主幹、交通安全・防犯担当主査
傍聴者
7人
担当部署
総務部 危機管理課 交通安全・防犯担当
議題および決定事項等
1.議案
- イーグルバス株式会社 市内運行区間の廃止に伴う代替手段検討について
- 日高市地域公共交通計画について
- 新たなモビリティの導入素案について
会議資料等
資料1 前回協議会の振り返りと交通戦略部会の報告 (PDFファイル: 376.3KB)
資料2 イーグルバス日高・飯能路線の代替手段検討について (PDFファイル: 1011.3KB)
資料3 日高市地域公共交通計画における基本方針・数値指標の設定・ 目標達成のための施策事業について (PDFファイル: 1.1MB)
資料4 新たなモビリティの導入素案について (PDFファイル: 777.7KB)
会議の経過
日高市地域公共交通協議会条例(以下:条例)に基づき、久保田会長が議長となり、会議進行を務めた。
報告事項
会議開始に当たり、令和6年8月19日付けでプレスリリースのあった「日高・飯能路線の日高市内運行区間廃止に伴う大幅路線改定」について、イーグルバス株式会社 山岸委員より報告を受けた。
[報告要旨]
メディアでの報道のとおり、平成18年から19年間運行してきた、武蔵高萩駅から高麗川駅経由、飯能駅北口間および、武蔵高萩駅から高麗川団地経由、高麗川駅間の「日高・飯能路線」の日高市内運行区間を令和7年3月末をもって運行廃止とする。
自社努力で運行してきた当該路線は、燃料費や人件費の高騰により年間4,000万円、累計で約2億円の赤字を計上した。こうした中で、現在、運行している車両も老朽化が進み、順次買い替えが必要な車両も出てきており、また、昨今の運転士の労働時間の基準改正(2024年問題)もあり、運転士不足が深刻化している状況も相まって、一民間企業だけでは日高市の公共交通を支えるのは限界であった。これまで、日高市と運行継続を行える範囲での運行経費や車両購入の支援について協議を重ねてきたが、今回、廃止の決断に至った。
このような事態となり、バス利用者や協議会に対しても、ご迷惑をおかけしたことを非常に心苦しく思う。弊社としても苦渋の決断であるが、実情をご理解いただくようお願いする。協議会において検討している代替路線のほか、市内の地域公共交通が弊社のような事態とならぬよう、現在策定中の日高市地域公共交通計画にて、慎重なご審議をいただくようお願いする。
議案事項
(1)イーグルバス株式会社 市内運行区間の廃止に伴う代替手段検討について
資料2に基づき事務局より説明。
[説明要旨]
イーグルバス「日高・飯能路線」の撤退の申し出に対する市の考えかた等を説明した。
[質疑・意見]
委員:今までイーグルバスが年間4,000万円の赤字を計上しているとのことだが、市としてはどう受け止めているのか。今後の対応方針も含め、市の考えを教えてほしい。
職務代理:地域公共交通計画を策定し、公共交通を強化する動きがある状況で、残念ながらこのような結論に至ったことについて、日高市の考えかたを改めて補足しながら説明する。
資料2の3ページ、日高・飯能路線について図化したものである。イーグルバスから日高・飯能路線について全面廃止との提案を令和6年4月に受けた。市からは何とか再考するようお願いしたところ、事務局から説明があったとおり、3つの条件がイーグルバスから提示された。
現行路線のうち、イーグルバスから継続しても良いと申し出があった路線はH13系統であり、こま川団地と飯能駅を結ぶ路線が継続可能との提示を受け取っていた。条件として、1つ目は運行回数が5.5往復、便数換算すると1日82便が日高・飯能路線を運行していたが、これを22便に減便するとの条件だった。2つ目は、計上する運行赤字は補填をしてほしいとの条件であり、3つ目として運行に使用する4,500万円から5,000万円程度の電気バス車両(EVバス)も購入してほしいとの条件だった。市として一度は承諾したが、運行便数を把握していくと、国庫補助の基準を満たさないことが明らかとなった。また、市の公共交通の結節点である高麗川駅や武蔵高萩駅に寄らず、飯能駅に直接アクセスする路線に投資する必要があるのかを庁内でも検討したところ、提示された条件を承諾することは困難であったため、苦渋の決断をした。現在、高麗川駅東口開設事業に着手し、鉄道駅をはじめとした拠点づくりも充実させたいとの市の意向もあり、タクシー事業者に小型ワゴン車両を用いて、市内を循環する形で運行してほしいことを相談している。
当該路線の廃止については、令和6年8月19日に公表されたばかりであり、市の考えも定まっていない状態である。本日委員の皆さんに検討の方向性について同意をいただければ、その方向で進めたい。市議会に対してもイーグルバスの撤退を報告したが、新たな代替手段については本協議会が最初の相談の場となる。
会長:現段階で具体的な運行内容や費用面を示すのは難しい。改めて、次回協議会にて詳細を調整することで良いと思われる。
委員:本日の協議会前に本件に関するニュースを確認した。日高市内の運行は廃止となり、飯能市内の運行については継続すると報道されていたと思うが確かなのか。また、飯能市では運行継続するにも関わらず、日高市では撤退する、この対応の差はどうして生まれるのかを教えていただきたい。
委員:飯能市においても、日高市同様の条件を提示して協議を進めている。そうした中、飯能市では、運行経費補填、車両購入支援をいただけるとの回答を受けた。従って、飯能市内の運行区間については継続するとの結論に至った。
会長:市から提案があったとおり、資料に従って議論を進め、次回協議会で詳細を詰めることで良いか。
(委員一同より、今回の協議会の議論内容について確認し、了承を受けた)
(2)日高市地域公共交通計画について
資料1および資料3に基づき事務局より説明。
[説明要旨]
「日高市の地域公共交通の課題と今後の施策事業の方向性」に関する意見照会結果を踏まえて、計画の基本方針、目標達成のための施策事業および数値目標の設定方法等を説明した。
[質疑・意見]
委員:施策の柱について「何をやるか」とそれ以上に「何からやるか」が非常に大切である。つまり、取り掛かりやすい施策からやっていては間に合わないということが起こり得ると思うため、現状認識でどれほど深刻なのか、その深刻なことに対して、何を必須で実施しないといけないのかを間違えてはいけない。
例えば、イーグルバスの場合、年間の赤字が4,000万円との報告があったが、これは1日で10万円以上赤字を計上することとなる。仮に10万円とすると、利用者1人200円の運賃を徴収しても500人必要となる。これは365日で500人必要というレベルであるため、土日祝日や秋の巾着田シーズンに行楽イベントを実施するだけでは全く追いつかない。つまり、イベント輸送への注力やバス教室の実施は必要な施策と思うが、それを実施することでどんな課題が改善されるかはよく検討する必要がある。
また、本日の協議会で決定すべき事項として「数値指標の選定」を15種類ほど挙げているが、1つずつ検討して全部決定するのか伺いたい。指標2「公共交通の収支」のように、「公共交通」との用語が多く出現するが、「公共交通」は鉄道・バスまでは分かるが、今後、議論を進める乗り合いワゴンや通常タクシーは公共交通に位置づけるものなのか。なお、仮に施策リストについて、賛成および反対を一括で決めるとすれば、会社としては「公共交通の収支」を公表しても、何の発展もなく議論が終了した場合、赤字を公表する意味が全くないため「然るべき補助が必要なので収支情報を提供してほしい」との考えかたがセットだと考えている。こうした観点からも指標をどのようにして決定するるのか伺いたい。
事務局:「何からやるか」はご指摘のとおりである。検証課題を認識したうえで方針を検討することが重要だと認識している。現状の資料3に記載している施策リストのみならず、今何が必要で、すべきことは何かを念頭にリストアップしたい。
また、バスの乗りかた教室等、実施の目的を検討すべきとの意見についても、ご指摘のとおりである。ただし、市民の交通に対する意識変容も重要課題であり、その手法の1つであると思うため、施策候補として挙げている。
数値指標の決めかたについて、資料3で挙げている中から、情報の提示可否等の意見を交通事業者等と相談しつつ進めたい。公共交通の収支について提示が難しいとの意見をいただいたことも踏まえ、指標の採択可否を検討する必要があるため、新たなモビリティも公共交通に位置づける可能性がある。
委員:収支情報を提示したくないと言ったのではなく、「課題解決のために必要なデータは提示するが、提示するだけで課題解決まで至らず終わることはしたくない」と言った。「収支情報が役立つ場面」や「何をやるために提示するのか」、目的を明確にする必要があると考えている。
会長:計画における公共交通の定義についても問われているが、事務局はどう考えるか。市内タクシーは公共交通に含まれるか。
事務局:公共交通の位置づけについて、市内タクシーも公共交通であると位置付ける必要があるが、今後の交通状況によってケースバイケースで考える必要があるため、引き続き検討したい。
会長:市内タクシーを公共交通と定義するかは現段階では決定に至らないことで了解した。指標については、今日決定を目指すとしているが、今の指摘を含めて検討を深める必要があるため、今回は委員意見を伺い、それを踏まえて次回の交通戦略部会、協議会と進める流れで良いか。委員の皆さんにおいては、資料2の8ページを参照し、他の基準もあったら良いとの意見を挙げていただきたい。
委員:施策リストについて、よく検討されていて素晴らしいと思う。資料3の7ページ「交通事業者との調整のもと、国庫補助や県の補助を活用するなど、公共交通軸の維持確保に向けて、市として可能な支援を行う」とあるが、十分に実装できなかったために路線バスが撤退したとの背景がある。
また、7ページで「市民の生活及び本市の発展を支えるために必要な公共交通サービス水準を維持するため、公共交通軸の維持・確保を図る」とあるが、現状は出来ていない。さらに、公共交通を担う事業者について深く考察している資料がない。「この路線が廃止するから、そこに新たなモビリティを導入しよう」と言うことは簡単だが、バス業界の実情は非常に厳しい。初回の協議会でも言ったが、人員が確保出来ないから、イーグルバスも撤退する事態になった。撤退した具体的な理由・経緯を行政が現場職員や労働組合に寄り添って精査したうえで、何が出来るかを検討する必要がある。
事務局:今回のイーグルバスの廃止についても厳しい交通事業者の現状を目の当たりにした。人員がいないことが大きな背景にあったために廃止にせざるを得ず、資金だけではないとの話を受けた。また、都内でも同様に人員不足を理由にバス会社が撤退するとの事例を新聞等々で確認し、厳しい現状だと実感している。そのため、地域公共交通計画を策定するに当たって、市として出来る支援や必要な指標を定めたい。
委員:資料3の数値指標について、運輸局あるいは運輸支局が提供するデータを用いての算出が想定されているが、「公共交通の利用者総数」については、各交通事業者に確認をとったうえでデータの提供依頼をしていただきたい。事業者によっては情報を出したくないとの回答もあるため、資料作成に当たっては、そうした点を慎重に検討いただきたい。
また、「公共交通に従事する運転者数」については、日高市域のみのデータを用いて算出するのかが不明確である。1事業者ごとの運転者数データはなく、日高市だけ抽出するのは難しいと思われる。
会長:具体化する段階で、実現可能性に鑑みて具体化を進める必要がある。
委員:「免許返納率」は指標に加えなくて良いのか。高齢化が進行している地域である場合、返納すると移動手段がなくなるので、免許返納しにくいと思われるため、免許返納を促すような施策を講じることが望ましいのではないか。
また、運転士が不足しており、バス運行が難しいとの話があったが「運転士の給与補填」等の施策の検討もあると思う。ある自治体にて、保育士不足に対する施策を検討した経験もあるが、その自治体では保育士に対して給料の補填を公費で行っており、同様のことがドライバーに対しても可能ではないか。
事務局:高齢者の免許返納は、高齢者等おでかけ支援事業と連携して推進を図る必要があるため、指標への追加可否を検討したいと思う。
運転士の給与補填について、保育園は行政区域内、例えば日高市内の保育士の給料であれば、日高市の子供たちのために保育士に頑張ってもらうとの趣旨は理解できるが、交通事業者や行政区域を跨ぎ、妥当な方法が思い付かないため、今後、事例研究等を進めて行きたい。
委員:従来、バス事業への支援は赤字補填との意味合いでの補助が多くを占めていた。新型コロナウイルス感染症の流行が明けて2024年問題が議論され始めた直近1年前くらいから、金銭的な問題ではなく、人員がいなければできないと叫ばれるようになった。そのため、人員不足に対するダイレクトな支援は実例がない状況である。
行政等における人員不足に対する支援策の事例として、東京都葛飾区等では9月の補正予算で議題に挙がり、転入者がバス運転士になった場合に転居費用を補助することや、 市内居住者が運転手になった場合でも、住居費用を補助するとの話が出てきた。人員不足という交通事業者の深刻な課題に対して、有効な対策が各地で講じられることになると思う。
会長:資料3の7ページ「基本方針」については異論がないということで、この方針で検討を深めることとする。また、施策の優先順位を明確化することは大切だと思うため、その点の修正をお願いする。さらに、8ページ、施策の柱3については、他と比して充実度が低いと見受けられるため、事務局には検討をお願いする。
(3)新たなモビリティの導入に係る方向性について
資料4に基づき事務局より説明。
[説明要旨]
新たなモビリティの導入に関して、他自治体の事例をもとに、タクシー利用助成による制度設計を行い、市の考えかたや想定される費用負担額等を説明した。
[質疑・意見]
委員:路線バスへの乗り継ぎについて、乗り継ぎのバス停が鉄道駅に近いほど補助率を考慮してはどうかとの話があったが、最終的に割り引き作業を行うのはバス運転士なので対応できる範囲を確認する必要がある。複雑なシステムを組んだりすると、実務上、困難であることがあり得るので配慮してほしい。現状のタクシー利用券補助だと市内外関係なく移動できるが、新たな補助事業の導入により、市内全域が対象となることで、今まで市外へ向かっていた利用者の扱いを含めて、鉄道・バスへ接続するとのコンセプトが打ち出されているため、鉄道やバス利用者が減らないよう応援してほしい。
事務局:市内での移動を原則として、日常生活で必要となる医療機関等の市外施設への移動については、鉄道やバス等を利用することを基本として考えている。また、資料中の「市外指定施設は継続協議」との記載については、地域公共交通計画を策定する前段階での市民アンケート調査結果や「高齢者等おでかけ支援事業」での利用者の目的地を確認すると医療施設利用者が多い。
特に、毛呂山町の埼玉医科大学を目的地とする利用者がとりわけ多く、例外的な取り扱いが出来ないか継続的な協議をしたいものである。
委員:資料4の4ページに記載している試算結果について、どのような解釈・想定をしているのか。利用者数によっては、現在、タクシー会社で所有している車両台数では足りなくなり、市からの車両支援等が必要になるのではと思う。また、タクシー利用補助券の申し込み等、高齢者にとっては手続きが難しく感じて、何も出来ない可能性もあるため、高齢者に対する配慮も検討してほしいと思う。
委員:試算結果について、市民全員が利用する想定ではない。現段階では具体的な利用者数を予測することは出来ていないが、現状を加味して、利用者を目的地に運べる試算結果だと思う。
利用者の積み残し等の状況が想定されても、タクシー車両台数やドライバー採用数増加の可能性もある。さらなる議論の必要性もあるが、利用者のニーズに可能な限り応えていきたい。
会長:高齢者には手続きが難しいとの意見もあったが、事務局から提示された制度は複雑なシステムではないように思われる。手順は簡単で、事前予約をしていただき、タクシーに家まで来てもらって利用料金を支払うのみである。
委員:資料4の1ページ、「日高市への導入の考え方」について「高校生や子育て世代も含めた移動支援を推進する」とした場合、高校生の利用シーンとして通学が想定されるが、午前8時30分から午後5時までの運行時間帯では、通学利用には少し不便ではないか。この点について、高校生の通学を支援するとの考えがあるのか、あるいは、通学ではなく、高校生の通学以外の日常利用を想定しているのか。
事務局:高校生の通学の時間帯に合致していないとの指摘については、一般のタクシー利用、通勤で使う時間帯は繁忙時間と重複するため、高校生の通学をターゲットとしているものではない。
委員:高校生を含めて移動支援となる場合、通学と結びつくが「実情に合致していないのでは」などの指摘も受ける可能性があるため、補足説明等が必要ではないか。
会長:資料4の6ページを見ると、料金設定(割引料金含む)および運行事業者の詳細については決定出来ないと思うが、それ以外の内容については承認いただけるか。
(委員一同より、今回の協議会の議論内容について確認し、了承を受けた)
閉会
今後の予定について、事務局より説明。
[説明要旨]
第5回日高市地域公共交通協議会については、令和6年10月22日(火曜日)午前10時から開始を予定し、場所は日高市役所である。
なお、次回協議会は、当初示した年間スケジュールでは予定していたものではないが、今回の市内の公共交通の状況変化によって、決定すべき事項が多く残っており、議論の空白期間を作らないために協議会を追加開催したい。
また、第4回日高市地域公共交通協議会交通戦略部会に参加される皆さんにおいては、11月11日(月曜日)午後2時からの開催を予定し、場所は日高市役所である。後日、改めて委員の皆さんには開催通知を発出させていただく予定である。
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更新日:2024年09月27日