第3回日高市地域公共交通協議会の会議結果
会議結果は次のとおりです。
第3回日高市地域公共交通協議会会議録
日時
令和6年6月21日(金曜日)午後2時から4時まで
場所
高萩公民館多目的ホール
公開・非公開
公開
非公開理由
なし
出席者
久保田会長、金子職務代理、鈴木委員、山岸委員、小谷野委員、山下委員、高木委員、原島委員、嶋田委員、武藤委員、藤田委員、江頭委員、守谷委員、長岡委員、田中委員、松尾委員、小嶋委員、後藤委員、鹿山委員、松川委員、古本委員、野々宮委員、木村委員
欠席者
村上委員、杉本委員、関根委員、美濃浦委員、坂巻委員
関係者(日高市地域公共交通協議会条例第7条関係)
国土交通省国土技術政策総合研究所
都市研究部都市施設研究室室長 新階氏
説明員
危機管理課長、交通安全・防犯担当主幹、交通安全・防犯担当主査
事務局
総務部長、危機管理課長、交通安全・防犯担当主幹、交通安全・防犯担当主査
傍聴者
5人
担当部署
総務部 危機管理課 交通安全・防犯担当
議題および決定事項等
1.報告事項
- 郊外市街地におけるモビリティのありかたについて
2.議案
- 「日高市の地域公共交通の課題と今後の施策事業の方向性」に関する意見照会結果について
- 新たなモビリティの導入に係る方向性について
3.その他
会議資料等
資料1_前回協議会の振り返りと交通戦略部会の報告 (PDFファイル: 353.7KB)
資料2_「日高市の地域公共交通の課題と今後の施策事業の方向性」に関する意見照会結果について (PDFファイル: 407.4KB)
資料3_新たなモビリティの導入に係る方向性について (PDFファイル: 3.1MB)
【講演資料】郊外市街地におけるモビリティのあり方について (PDFファイル: 6.5MB)
【参考資料】「日高市の地域公共交通の課題と今後の施策事業の方向性」 (PDFファイル: 873.0KB)
会議の経過
日高市地域公共交通協議会条例(以下:条例)に基づき、久保田会長が議長となり、会議進行を務めた。
報告事項
郊外市街地におけるモビリティのありかたについて
講演資料により、国土技術政策総合研究所の新階氏より説明
[説明要旨]
令和2年度から令和4年度に実施したこま武蔵台地区でのグリーンスローモビリティの実証実験について、結果概要の報告とともに、実験から得られた知見・課題等の説明を受けた。
[質疑・意見]
会長:地域からサービス継続希望の声も多くあったようだが、それぞれの地区における取り組みのその後はどうなったのか。
新階氏:こま武蔵台地区については、実証実験終了後、車両の導入の可能性について検討を行っており、北野台地区では、地元で軽自動車を用いて運行サービスを継続されたと聞いている。綾西地区については、議論は進んでいるが具体化までは進んでいない。
議案事項
(1)「日高市の地域公共交通の課題と今後の施策事業の方向性」に関する意見照会結果につ いて
資料1および資料2に基づき事務局より説明。
[説明要旨]
前回協議会での会議内容を確認し、「日高市の地域公共交通の課題と今後の施策事業の方向性」に関する委員意見照会結果の概要を説明した。
[質疑・意見]
質疑・意見なし
(2)新たなモビリティの導入に係る方向性について
資料3に基づき事務局より説明。
[説明要旨]
新たなモビリティの導入に向けた他自治体の事例紹介、各運行手段のメリット・デメリットを分析し、日高市の導入可能性を説明した。
[質疑・意見]
委員:事例としてまとめているタクシー利用助成について、東松山市のデマンドタクシー、川島町かわみんタクシーでは、両方タクシー利用助成であると思うが、東松山市は、乗降ポイントを定め、途中乗降はできないと認識している。一方で、かわみんタクシーは、町内のどこでも行ける通常のタクシーと同様となっている。どちらの運行方法が良いのかは、これから議論していくのか。
事務局: 資料としては、タクシー利用助成とまとめているが、制度設計の中では異なる面があることを承知している。市内における路線バス利用状況等からして、導入するのはバスではなく、タクシーの方が適正ではないかと説明した。賛同いただければ、今後、サービスの詳細設計について検討したうえで、皆さんに諮りたいと思っている。
委員: タクシー利用助成である場合、どこでも乗降できるタクシーを想像した。タクシー利用助成についても、バス停留所のように乗降ポイントが決まっているものと、決まっていないものの両方の選択肢があると理解した。
委員: 資料3の1ページについて、バス停留所のうち、平日片道運行本数30本未満のところは、公共交通カバー圏として含まれていないという説明だった。この地図から読み取れば、青い丸は一切影響が出ないということになる。つまり、公共交通としてカバー出来ていない路線バスとなり、運行してもしなくとも同じであれば、実際に運行しなくても良いという議論に及んでいく恐れがある。
資料3の2ページについて、運行本数が少ない時間帯があり、それが「時間的な空白」であるとの説明があった。運行ダイヤ30分から1時間に1本の運行本数で利便性が高いとは言えないが、現実的に日高市の公共交通機関においては、川越線等の鉄道事業者も30分に1本でカバーしているところは少ないのが現状である。
近隣の飯能市で運行しているバスについても、30分に1本以上の運行本数でカバーできているバス路線は1つもない。この現状を踏まえると、高麗川駅周辺でも交通空白という議論にならざるを得ないため、神経質になる必要がある。
なお、30分から1時間に1本以下を交通空白と捉えたとした場合、今後の施策事業において、この路線と連携するという意図がわからない。実質的な運行頻度を高めるということはどういった意図であるのか。
定時定路線でないとすると、既存のバス路線のダイヤの合間に挟み込むものではないと思う。そのため「バスの利便性が低いから、タクシーで直接鉄道駅まで行ってしまった方が楽ですよね」となる議論を恐れている。
資料3の9および10ページで既存交通機関の特徴を○△×で表現している。資料中に記載のあることは事実だが、効率が低い路線バスを補助金を受けずに運行している。つるバス(埼玉県鶴ヶ島市)の事例では、補助金が年間2千万円以上かかっているものがあったが、現在、日高市内で運行している路線バスは補助金を受けずに運行しているのが事実である。
事務局: カバー圏域について、基幹的公共交通の定義として、片道運行本数30本以下のバス停留所は交通空白と同じとなる。日高市立地適正化計画でも、同様に公共交通のカバーされているところは、鉄道駅のカバー圏域と片道30本以上運行するバス停においてはカバーしており、それ以外はカバーしていないという位置付けとなっている。だからといってカバー圏が無くてもいいのかという捉えかたはしていない。
当然ながら、路線バスが運行していることへの安心感は近隣住民が持っている。そこはしっかりと存続していき、そこにモビリティを接続していきたいと考えている。
かわみんタクシーの事例のように、既存の路線バスに接続するような施策の導入の仕方であれば、乗車割引をするような形で実施したい。
空間的な空白と時間的な空白、2つの考えかたを重ね合わせて実施していくのは、バスおよび鉄道に近い方はそこを使って頂きたいというのが大前提である。ただ、人によって、どうしても時刻表通りの時間では目的地に行けない、急いでいきたい、荷物を持っていたらバス利用が難しいという場面もあるため、市民に選択肢を多く持って頂きたいという思いから、空間的な位置付け、時間的な位置付けとしての考えかたを示した。
なお、つるバスの補助金については、ご指摘の通りである。大変な経営状況の中、地域の公共交通を担っていることは認識している。既存の路線を何とかして継続して運行していただきたいため、地域公共交通計画には、その旨を落とし込んでいきたいと考えている。
委員: 考えは理解したが、それが資料から読み取れるとは思えない。既存の公共交通がいつまで存在するか分からない状況にある中で、「立地適正化計画に合わせる」との考えで、交通の計画が上手くいくとは思えない。大切であるならば大切と明記してほしい。 通常は1時間に1本だったとしてもバスが運行していて、それと時間が合わない場合は、自転車や自家用車、タクシーで行くと思う。それを公費でカバーするならば、そこは話し合う必要があるし、もともと1時間しかカバーしていない地域に対しての対応は、本日の議題にも入っていないし、今後いつ議題に入ってくるのか分からない状況では交通事業者としては不安である。
新しいモビリティ事業の実施が決定しても、既存の公共交通がカバーしていない地域についてこのまま終わりにしたくはないし、してほしくないが、 議論の流れとしてそうなっていると思う。資料の見せかたはこだわっていただきたい。
資料を見る限りでは、利便性が高いとは言えないことについて、注釈もなく終わっている。
事務局: 資料の作りかたに関しては、意図が伝わっていなかったところがあったことを含め、ご指摘を踏まえて検討する。今回の協議会では新たなモビリティに焦点を当てて議論しているが、次回(8月)の協議会では、既存の公共交通も含めて計画書の議論を進める。
会長: 現場で懸命に尽力している公共交通は今後も非常に重要な役割を果たし続ける。しかし、その一方で不便を感じている人もいる。そうした人のために、新たなモビリティの提供が求められており、今後もその重要性が揺るがないよう、引き続き検討していく必要がある。
委員: 立地適正化計画を作成した時点で、停留所が存在する地点として落とし込み、徒歩圏内ということで設定しており、鉄道駅を中心に居住誘導区域を設定している。立地適正化計画の狙いとしては、居住誘導区域に緩やかに誘導を図るものである。駅付近の地域では、人口密度は非常に高いが、資料3の11ページ、アクセス性が低い地域は人口密度が低い状況にある。人口密度が低いということは、交通利用者の総数も低いと思う。
そういう人の交通手段をどう確保するかは、拠点となるところに結節点を設けて、フィーダーを通して、交通計画を実施してほしいと書いている。現存するバス停留所が必ずしも機能しないなどという話ではなくて、今後の交通の結節点になり得る可能性も選択肢となり得るため、そういった点を検討していただきたい。
会長: 既存公共交通路線を重要視して、そこへの交通を確保するという点で補足的な意見をいただいた。その他意見等あるか。
委員: 9ページ中の朝日町ノッカルの事例は、日高市の「地域おたすけ隊」と類似するように思うが何が違うのか。類似するのであれば、それを拡張することで良いのではないかと思 う。地域おたすけ隊の事例についてレビューして頂きたい。
事務局: 朝日町ノッカルの事例については、ライドシェアに近いやりかたとなっている。アプリでの予約が可能となっており、システムの構築等に相当の金額が投入されていると思われる。
地域おたすけ隊は電話予約であり、システムの構築や運用をしていないため、非常に安価で運用しているため、その点が異なる。加えて、地域おたすけ隊のドライバーは地域住民が担っており、深刻な高齢化に伴って次世代の担い手確保が難しいことで苦労していると聞いている。
委員: 地域おたすけ隊はドアツードアの交通手段として非常に便利で、地元の人がドライバーなので利用者も安心できる。ただ、事務局からあったようにドライバーが少ないのが問題であることは承知している。そのため、システムの作りかたをノッカルから指導いただければ助かるのではないかと思う。
乗り合いタクシーの問題で「他人との乗り合いに抵抗感がある」ことについて、一方で乗り合いではコミュニケーションが生まれ、それが楽しいという話もある。そのため、乗り合いタクシーの事業展開を検討するなかで人手不足が課題としてあるなら、システムを導入し、配車予約手続き等の簡略化を図ることで人手不足の解消につなげることで良いのではないか。
委員:資料3の10ページの○△×で評価している箇所について、事務局としての良し悪しの考えかたなのか。○が多い方が、可能性が高いという考えかたで良いか。
事務局: ○が多くついている方が良く、市として積極的に取り入れていきたいという意味合いである。
委員: タクシー利用助成が地域おたすけ隊と類似しており、導入できるのではないかとの話だった。しかしながら、地域住民が地域住民を送迎しているボランティア活動であり、また、あくまでドライバーと乗客は1対1でしか輸送できない。システムで運用する場合との違いと言えば、ドライバーと乗客との円滑なマッチングが可能な点と、近隣の住民が一緒に乗車できる点が違うと思う。
委員: おたすけ隊については、ドライバーをやりたいと思える人が時間に余裕のある高齢者となるのは必然であり、持続性や安全性が課題となる。地域おたすけ隊事業を拡張するとなると、200円の報酬ではなく、きちんとした報酬を受け取り、最低賃金をドライバーに与える形にしなければ難しいと思う。
委員: グリーンスローモビリティについて、これが日高市にとって、地域おたすけ隊と合致できて、今後事業としてフィットし成功につながるのではないかと感じている。
委員: グリーンスローモビリティについて質問があるが、短距離のみでの運行となるのか。例えば、地域内のコンビニ間等の運行となるイメージか。
新階氏: 過去実験時にグリーンスローモビリティを運行いただいた人は、地域おたすけ隊員の属性とほぼ重複しており、実施内容も類似している。しかしながら、実験を開始してみるとお互いがバッティングすることなくスムーズに導入出来た手ごたえがあった。
委員: グリーンスローモビリティの実験は、1回100円などで収支が成立するという点で地域おたすけ隊と近く、両立するのではないか。
新階氏: アンケートの回答では、本格実装時の支払額を尋ねた結果を見る限りでは成立するのではと思う。乗車賃に応じて利用するか否かを地区全体に尋ねたが、月500円であっても利用したいと回答した人もいた。
また、車両費用も含めてコスト等を試算したところ、うまく運用しそうな結果もあった。こま武蔵台地区は約5,000人であったが、ある程度の人口規模があり、一定割合の人が月500円であれば払えるとすれば実装できる可能性はあると考えられる。
委員: 地域おたすけ隊とグリーンスローモビリティの件について、市民に地域の不満を聞いて、バス・タクシー事業者の情報資源として新たなモビリティの議論をしていきたい。
委員: グリーンスローモビリティには大きな可能性を感じている一方で、タクシーとの違いを、日高市の地理的特性から見ると、社会実験の一環として地域内のラストワンマイルの移動手段に適している結果となった。
本協議会の中での議論では、カバーしようとしている移動範囲によって、導入すべき新しいモビリティの種類が変わると考えられる。つまり、市内全域でグリーンスローモビリティが利用できるわけではないが、グリーンスローモビリティは公共交通を検討する上では非常に魅力的な選択肢であり、他のモビリティと組み合わせることでさらに有効な交通手段になると考える。
委員: 日高市のような地方では普段、主に自動車、軽トラックを使用している。バスやタクシーなどと違い、乗車までの待ち時間等なく、自宅から気軽に外出できて便利である。こうした利便性を高齢になってからも失いたくないと思う。一つの解決策としては、デジタル化の時代に即した方法を検討できればいいのではないか。
現在、タクシーは電話で予約するのが一般的と思うが、時間の制約もある中でタクシーアプリなどを活用することで、より便利になると思う。また、タクシーの利用料金が高く、料金を見て落胆することもあり、タクシーの待ち時間が30分から1時間かかることもある。一部のタクシー会社では二次元コード決済を導入しているが、市内でも積極的に導入・展開するなど、タクシーで駅から駅へ、あるいはバス停まで移動するなど、最適な方法で移動できればと思う。
バスについても、現在、どこを運行しているのかをリアルタイムに把握できるようにする必要がある。これは日高市だけでは難しいかもしれないが、埼玉県全体で考えていただきたい。
会長: 8月に向けての作業について、本日の議論と事務局資料を踏まえ、資料3の10ページの事例の○×の様子をみると、市としてはタクシー利用助成で進めたいという意向がある。ただし、タクシー利用助成にもさまざまな方法があり、これから詳細を検討する必要がある。
1番重要なことは、既存の公共交通を保つという大前提を踏まえつつ、具体的なタクシー利用助成をやる場合にどうすれば「市民の皆様の安心を確保できるか」という議論を具体的にしなければならない。それではお諮りするが、新たな交通手段としては、タクシー利用ということでよろしいか。
委員: 異議なし(部会および協議会の進めかたについて確認し、了承を受けた)
会長: では、協議会の下部組織である交通戦略部会にて案を提示したうえで、次回8月の協議会に諮る段取りで進めることとする。
閉会
今後の予定について、事務局より説明
[説明要旨]
第4回日高市地域公共交通協議会については、令和6年8月30日(金曜日)を予定している。場所は日高市役所である。なお、第3回交通戦略部会に参加される皆さんにおいては、7月26日(金曜日)の開催を予定している。場所は日高市役所であり非公開となる。
後日、改めて委員の皆さんには、開催通知を送付させていただく。
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更新日:2024年08月06日