平成28年度日高市公共施設マネジメント講演会を開催しました
これまでに整備した公共施設の老朽化に伴い、今後、多額の費用が必要になることが全国的な課題となっており、また、超少子高齢化による人口構成の変化など社会環境の変化に伴い、公共施設の持つ役割が問われています。
市では、こうした現状や課題に対応するため「日高市公共施設等総合管理計画」を平成28年3月に策定しました。
今後、この計画に基づいて公共施設マネジメントを推進していくためには、市民と行政の情報共有による共通認識が特に重要です。
今年度の講演会では「公共施設等総合管理計画」策定にご尽力いただいた講師により、日高市の現状と課題をふまえて、将来の公共施設の在り方を考えていくことについて講演を行いました。
日時
平成29日1月28日 土曜日 午前10時から11時45分まで
会場
文化体育館 ひだかアリーナ
講師
株式会社住宅・都市問題研究所代表
平井 允(ひらいまこと)氏
技術士(建設部門・都市および地方計画)
東京都調布市建築審査会会長
平成2年から22年間、芝浦工業大学大学院講師(まちづくり)
第6期日高市高齢者福祉計画・介護保険事業計画策定作業を担当
日高市公共施設等総合管理計画策定作業を担当
内容
テーマ
時代の変化と「日高市公共施設等総合管理計画」
1.公共施設マネジメントとは
- ファシリティマネジメント(財産管理)を進めること。
- 公共施設(皆様の財産)を総合的、計画的に管理すること。
- なぜ、財産管理をしなければならないか?
- 老朽化への対応が必要になっています。
- 皆さんのお住まいや車などの財産も、メンテナンス・日頃からの手入れが必要になっているのと同様です。
- メンテナンスに関する事故が多発し、道路や橋、学校などの建物を含めて公共施設のメンテナンスや寿命を見直す切っ掛けが生じました。
- 全国の都道府県を含めた全ての自治体が、公共施設のマネジメント(公共施設等総合管理)計画の策定に取り組んでいます。
2.時代が変化してきています。
- 都市化社会、都市型社会から都市再生へと変化しています。
- まちづくりの大きなテーマが、スマートシュリンク=縮退(都市をもう一度小さくすること)になってきています。
- その際のキーワードは、コンパクトアンドネットワークです。
- 背景は人口動向の変化、急激な人口減少です。
- 人口減少がいろいろな面に影響します。
- 施設の需要が変化します。必要な財源の確保が難しくなります。
3.公共施設について、日高市もいくつかの悩みを抱えています。
- 日高市は、平成25年度から公共施設の調査やアンケートに取り組み、平成27年度には「日高市公共施設等総合管理計画」を策定しています。
- 市内には62の公共施設があります。教育施設が3分の2を占めています。
- 昭和50年代の人口増加に合わせて公共施設を整備しているため、現時点では施設の老朽化が目立ち始め、対応が課題になっています。
- 住まいと同様、経年劣化への対応が必要です。
- 但し、時代の変化を見すえた対応が不可欠です。
4.日高市も人口減少が予想されています。
- 高齢者の増加、少子化の進展、生産年齢人口の減少による税収の変化等いろいろな変化を踏まえた対応が必要になっています。
- 人口構造(年齢的な構成)が変化して、施設需要も変わっていきます。
- 建物施設だけでなく、道路、公園、下水道などのインフラストラクチャーの維持、更新への対応も必要になっています。
- 専門家の試算によれば、造ることより維持管理するコストの方が高くなるという結果が報告されています。
- 大切に使うことも、維持管理面で大きな効果を発揮します。
- 日高市の財政状況を分析してみると、余裕はありませんが悲観的になる事もない状態だと思います。(数年間は、いろいろな対応が可能だと判断しています。)
- 財政的な意識を持ち続けることが大切になっています。
- 市民の方の理解を得た上で、維持管理に係る費用を平準化する取組が大切です。
- 今年度に実施した市民アンケートでは、「施設の長寿命化を図り、建設を抑制するべきだ」という回答の比率が高くなっていました。
- 市民の方と情報を共有しながら、公共施設の維持・管理に取り組むことが不可欠になっています。
5.全国でさまざまな取り組みが始まっています。
- 道路や公園、上下水道等を含めて、公共施設の管理は全国の自治体の共通した課題です。自治体の知恵比べとも言えます。
- 全国で、公共施設の集約化、複合化、再配置などの取り組み事例がたくさん生じています。
- 建物としての公共施設という観点からだけでなく、まちづくり・地域活性化という視点からの取り組みも始まっています。
- 日高市でも取り組めそうな事例もあります。
- 民間との連携も、重要な要素になりそうです。
- 既存の資産、皆さんの財産をどう生かすのか、市民の皆さんと連携して着実に進めていくことが一番大切だと思います。
6.新しい価値観をどう創りだすか
- 日高市民の生活の場をどれだけ豊かにできるかが、問われています。
- 日高は、いいところですよという市民の方の声が大切になります。
- 右肩上がりでない、安定した成熟社会を実現するための工夫は何でしょうか
- 情報交流や移動手段の多様性など、新しい技術に期待することも将来への展望になると思います。
- 皆で一緒に考えて取り組むことが、豊かで暮らしやすい日高市を築く第一歩になります。
質疑応答
Q:市民参加が大切だというお話しだった。市ではワークショップを計画しているようだが、ワークショップ以外にも、行政と市民が考える有効な手段がないだろうか。
A:本日お話しましたとおり、今、全国の全ての自治体が公共施設のマネジメントに取組んでいます。行政と市民の方が同じテーブルで、考えるやり口についても、知恵の出し合いになっていると思います。アンケートで市民の総意を知ることも有効だと思いますし、ワークショップのテーマを絞って実施するやり方、団体の長の方や代表の方が参加して広範な観点から議論していただく方法を組み合わせるやり方も有効だと思います。今回、地域別の説明会でもお話ししましたが、やはり地域によって事情が違うので、地域別にワークショップを開催する方法もあると思います。日高市では数多くの機会を作って、情報を共有し、議論を積み上げていくやり方がふさわしいような気がします。
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更新日:2017年03月29日