平成30年度日高市の河川水質・水生生物分析調査結果

調査目的

 本調査は、市民の健康と生活環境および自然環境の保全に資するため、河川の現状を把握することを目的としています。

調査地点・調査時期

 日高市内の河川10か所について、増水期(7月)と渇水期(1月)の年2回、水質の調査を実施します。また、そのうちの5か所について、増水期(7月)に、水生生物(底生生物)についての調査を併せて実施しました。

河川水質・水生生物分析調査箇所
河川名称 河川水質調査(箇所) 水生生物調査(箇所)
高麗川 3 2
宿谷川 1 1
小畔川 3 1
下小畔川 1
第二小畔川 1
南小畔川 1 1
合計 10 5

水質調査結果

水質調査結果(増水期)平成30年7月18日

水質調査結果(渇水期)平成31年1月29日

水生生物調査結果

調査結果から

水質調査

第1回目:増水期調査

BOD(生物化学的酸素要求量)、DO(溶存酸素量)、SS(浮遊物質量)、全亜鉛、ノニルフェノールは、全ての地点で基準に適合していました。

pH(水素イオン濃度指数)については、高麗川諏訪橋上流および高麗川橋下流、宿谷川鳥ケ谷戸橋下流で基準を超過していました。その他の地点は基準を満たしていました。

大腸菌群数は南小畔川神流橋上流を除く全ての地点で基準を超過していました。

調査において環境基準に適合していなかった項目の不適合の要因について以下に示します。

pHの環境基準に適合していなかった高麗川の諏訪橋上流地点は、アルカリ性に傾いているのが特徴です。pHがアルカリ性に傾く要因としては生活排水の影響による場合もありますが、この調査地点は有機性汚濁の代表的な指標であるBODの値が低く、生活排水等の影響は考えにくいため、基準不適合の要因としては、埼玉県西部地域にみられる石灰岩層に河川水が接触したことや、水中の藻類(植物プランクトン等)の光合成によること等、自然的要因の可能性が考えられます。

大腸菌群数は、生活排水等の糞便による汚濁の可能性を示す指標として環境基準の生活環境項目として設定されています。大腸菌群数が高くなる要因として、人為的な影響としては、生活排水等の放流、家畜の糞尿、農地の有機肥料の施肥等の影響が考えられます。また、大腸菌群は土壌中等、自然界に生息する菌が多く存在します。

第2回目:渇水期調査

pH、DO、SS、ノニルフェノール、大腸菌群数は、全ての地点で基準に適合していました。

BOD、全亜鉛については、小畔川境橋上流および小畔川中田橋下流で基準を超過していました。その他の地点では、基準を満たしていました。

調査において環境基準に適合していなかった項目の不適合の要因について以下に示します。

BODは、河川水や工場排水、下水などに含まれる有機物による汚濁の程度を示すもので、水の中に含まれる有機物が微生物によって生物化学的に酸化されるときに消費される酸素の量をいい、数値が大きいほど汚濁の程度が高くなります。小畔川の境橋上流および中田橋下流の基準不適合は、上流部にかけて市街地、点在する事業場、田畑があり、それらからの流入水による影響等の可能性が考えられます。

全亜鉛の検出由来としては、鉱山等の自然的供給源のほかに、食料品(茶・小麦胚芽等)・生活用品(シャンプーなど)による生活排水、無機薬品・染料等の生産工業等による事業排水の影響等が考えられます。小畔川の境橋上流および中田橋下流の基準不適合は、BODも高い値を示していることから、こちらも上流部にかけて市街地、点在する事業場、田畑からの流入水による影響等の可能性が考えられます。

水生生物調査

今年度の水生生物の確認分類群数は、全体で4門8綱17目34科82分類群が確認されました。

各調査地点の確認分類群数は、高麗川の1.諏訪橋上流が52分類群、3.高麗川橋下流が55分類群、宿谷川の4.鳥ヶ谷戸橋下流が35分類群、小畔川の7.中田橋下流が29分類群、南小畔川の10.神流橋上流が22分類群であり、高麗川の2地点で多く確認されました。

生物学的水質判定の結果は、1.諏訪橋上流、7.中田橋下流が「os」、3.高麗川橋下流が「osからβm」、4.鳥ヶ谷戸橋下流が「osからαm」、10.神流橋上流が「βm」でした。

判定結果の経年変化をみると、3.高麗川橋下流で「osからβm」、4.鳥ヶ谷戸橋下流が「osからαm」、10.神流橋上流で「βm」となり、水質の悪化が危惧されます。1.諏訪橋上流、7.中田橋下流においては「os」となり、河川環境が向上されていると考えられます。

「埼玉県レッドデータブック2008 (動物編)」に選定されている重要種は、ナミウズムシ、ナベブタムシ、ムナグロナガレトビケラの計3種が確認されました。「環境省レッドリスト2018」に選定されている種では今回は該当がありませんでした。

地点ごとにみると、1.諏訪橋上流では、ナミウズムシ、ナベブタムシ、ムナグロナガレトビケラの3種、3.高麗川橋下流ではナベブタムシ、ムナグロナガレトビケラの2種、4.鳥ヶ谷戸橋下流ではムナグロナガレトビケラの1種がそれぞれ確認されました。7.中田橋下流、10.神流橋上流では重要種は確認されませんでした。

  • os…貧腐水性水域:清水に近いきれいな水
  • βm…β中腐性水域:やや清水に近い水
  • αm…α中腐性水域:やや汚れた水
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更新日:2019年09月04日