文化財ニュース 市民歴史講座を開催しました【令和6年3月25日掲載】
文化財を適切に保存し、次の世代へ引き継いでいくため、日々文化財の調査を進めています。
近年実施した文化財の調査や遺跡の発掘調査について紹介します。
市民歴史講座を開催しました
今年度で9回目となる市民歴史講座です。今回のテーマは「素材のチカラー森の恵みと縄文生活ー」として、植物資源の重要な供給源である森に焦点を当てた、全3回の講座を開催しました。
第1回 「縄文時代の森の姿ー神奈川県西富岡、向畑遺跡ー」
日時:令和6年1月27日(土曜日) 場所:武蔵台公民館
第1回講座風景
第1回はかながわ考古学財団の新開基史先生に、縄文時代の森が当時の姿のまま発見された、神奈川県伊勢原市の西富岡、向畑遺跡の調査事例についてご講演いただきました。
縄文時代、山の斜面の森林が土砂崩れによって崩れ落ち、偶然土の下で地下水にパックされたため、樹木や昆虫までもが腐らずに出土しました。3,000年前の森に生えていた木の種類や森の様子などがこれほど鮮明にわかる遺跡は珍しく、貴重なお話を聞けました。
第2回 「縄文人の植物資源の利用ー東京都下宅部遺跡ー」
日時:令和6年2月4日(日曜日) 場所:高麗公民館
千葉敏朗 先生
第2回は東京都東村山市にある東村山ふるさと歴史館の千葉敏朗先生に、東村山市の下宅部遺跡の事例についてご講演いただきました。
水を使った作業場と考えられる遺跡で、大量の木の実や丸木舟、狩りに使われたと考えられる弓など、多くの植物資料が出土していました。木の実や木材、漆など縄文人たちの生活には植物資源が密接に関わっていることを改めて考えさせられました。
第3回 「現代に伝承される『縄紋樹皮製品』とその製作技術ー民俗考古学の視座からー」
日時:令和6年3月18日(土曜日) 場所:武蔵台公民館
名久井文明 先生
本年度最後となる第3回は、民俗学の視点から考古資料や古代の生活について研究されている、民俗考古学者の名久井文明先生にご講演いただきました。
名久井先生には令和4年度の市民歴史講座でも講演いただきました。今回は近現代に作られた樹皮を使った各種民俗資料と、遺跡から出土した縄文時代の資料との比較から、縄文人の使用していた道具や生活の実態に迫った研究の成果をご講演いただきました。
更新日:2024年03月25日