下水道だより(3)一般会計繰入金とは【令和6年6月1日掲載】
下水道事業は、公営企業の「独立採算制の原則」に基づき、下水道事業に要する経費を下水道を使用している皆さんの下水道使用料(私費)により賄い、運営することとされています。
ただし、自然現象に起因する「雨水処理に要する経費」等、下水道使用料で賄うことが適当ではない経費については、国の基準(注釈1)に基づき、市の一般会計から「一般会計繰入金(基準内繰入金)」(公費)(注釈2)として繰り入れています。
次の表は、平成30年度以降の決算における、各年度の一般会計繰入金の推移です。
決算年度 | 平成30年度 | 令和元年度 | 令和2年度 | 令和3年度 | 令和4年度 |
---|---|---|---|---|---|
基準内繰入金 | 165,685 | 141,021 | 134,246 | 158,839 | 62,138 |
基準外繰入金 | 19,773 | 32,785 | 27,129 | 21,645 | 180,658 |
合計 | 185,458 | 173,806 | 161,375 | 180,484 | 242,796 |
各年度の事業等の状況により、基準内繰入金の増減はあるものの、近年は一般会計繰入金の合計額が増加傾向にあることが分かります。
これは、物価上昇や電気料金の高騰、老朽化した施設の更新等がある中、近年の下水道事業の経営において、資金不足を起こさないよう、国の基準によらない「基準外繰入金」(注釈3)に依存せざるを得ない状況にあることが要因です。
今後、基準外繰入金を可能な限り低減させていくことが望まれます。
用語解説
注釈1・国の基準(繰出基準)
社会経済情勢の推移や地方公営企業(下水道事業等)の現状を鑑み、地方公営企業の基本原則を堅持しながら、地方公営企業の経営の健全化を促進して経営基盤を強化するために国が定めている、地方公営企業に対して一般会計が負担すべき経費の算定基準のことを言います。
注釈2・基準内繰入金
国が定めた繰出基準により、地方公営企業が一般会計から繰り入れる負担金や補助金のことを言います。
例えば、下水道事業の「雨水処理に要する経費」では、雨水は下水道使用者のみならず、全ての人に関係する雨という自然現象であることから、一般会計から繰り入れています。
他にも、「分流式下水道等に要する経費」、「下水道に排除される下水の規制に関する事務に要する経費」、「水洗便所に係る改造命令等に関する事務に要する経費」、「高資本費対策に要する経費」等があり、下水道事業の実情に応じて繰り入れています。
注釈3・基準外繰入金
国が定めた繰出基準によらない政策的経費、地方公営企業の事業収入で経費を賄い切れない部分を補填するために一般会計から繰り入れる負担金や補助金のことを言います。
基準外繰入金に依存する経営状況になっている場合は、「独立採算制の原則」に基づき、基準外繰入金を低減させるため、事業収入の増加、経費の削減といった経営改善への取り組みが必要であると言えます。
更新日:2024年06月01日