下水道だより(2)企業債とは【令和6年4月1日掲載】

企業債とは、工事等に必要な資金を調達するための方法の一つであり、国等の公的資金、銀行等の民間資金からの借入れのことをいいます。

下水道管や処理施設等は長期に渡って使用していくことになるため、その工事に必要な資金を、その時の下水道使用者だけで負担するのは、公平性の観点から望ましくないとされています。

そのため、企業債を借り入れて資金を調達し、毎年度返済していくことで、工事時点の一時の負担とせず、世代間の負担の公平を図るという目的があります。

これは、平成15年度以降、5年ごとの決算における、年度末時点の企業債残高です。

企業債残高の推移(単位:千円)
決算年度 平成15年度 平成20年度 平成25年度 平成30年度 令和4年度
年度末残高 9,106,840 8,172,164 6,601,448 5,926,818 5,362,272

(注釈)直近の決算年度:令和4年度

毎年度、工事等の資金調達のために借り入れている状況でありますが、下水道事業開始の頃に借り入れた高額の企業債の返済が終了し始め、企業債の残高としては減少している傾向にあります。

下水道事業の将来を見据え、老朽化した下水道管や処理施設等を計画的に更新していくためにも、今後も借入れと返済のバランスを取りながら、適切に企業債を活用していかなければなりません。

なお、企業債の元金返済は、主に下水道事業の内部留保資金(注釈1)や毎年度の純利益の積立金(注釈2)を、利息の支払は、主に下水道使用料を財源としています。

引き続き、安定した下水道事業の経営を目指して取り組んでいきます。

用語解説

注釈1・内部留保資金(損益勘定留保資金)

予算に計上している収益と費用のうち、「実際に現金の支出が伴わない費用」から「実際に現金の収入を伴わない収益」を差し引いて手元に残る資金のことを言います。

「実際に現金の支出が伴わない費用」には、「減価償却費」などが挙げられます。

「減価償却費」とは、下水道管や処理施設の取得原価を、取得した年度だけの費用とせず、その資産を使用できる期間(法定耐用年数)に応じて分割して費用に計上するものであり、実際に相手への支払が生じる訳ではありませんので、その分の資金が手元に残ることになります。

一方、「実際に現金の収入が伴わない収益」には、「長期前受金戻入」が挙げられます。

「長期前受金戻入」とは、下水道管や処理施設の取得(工事)に対して交付されることがある国の補助金などを、交付された年度だけの収益とせず、その資産を使用できる期間(法定耐用年数)に応じて分割して収益に計上するものであり、実際に相手からの入金が生じる訳ではありませんので、その分の資金が手元に入らないことになります。

よって、「減価償却費」から「長期前受金戻入」を差し引いた額が、手元に残る資金(損益勘定留保資金)となります。

なお、損益勘定留保資金は、主に下水道管や処理施設の工事費や企業債の元金の返済といった、資本的収支の「補填財源」として使用されます。

注釈2・純利益の積立金(減債積立金)

毎年度、事業で生じた利益を積み立てる積立金のことを言います。

まず、収益(下水道使用料など)から費用(維持管理費など)を差し引いた残額が利益になります。

そして、地方公営企業で生じた利益の取扱い(処分)は、法律や条例で規定されており、前年度から繰り越した欠損金がある場合は、生じた利益を使用して補填し、欠損金がない場合や欠損金を補填してもなお利益に残額がある場合は、積立金として積み立てることになります。

積立金のうち、企業債の元金の返済を目的としているのが「減債積立金」であり、資本的収支の「補填財源」として使用されます。

以上のことから、企業債の元金を返済していくためには、毎年度、増収などで利益を確保して「減債積立金」を積み立て、企業債の元金返済の準備をしていくことが重要となります。

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更新日:2024年04月01日