市長の企業見学(平成30年度)
第6回 井口ポリエチレン株式会社 平成31年2月26日(火曜日)
井口ポリエチレン株式会社はポリ袋やポリエチレンシートなどのポリエチレン製品の製造販売を行う企業です。
昭和29年8月、井口商店として東京都上石神井で営業を開始し、昭和31年11月に有限会社井口プラスチック工業所と改名、昭和44年2月に井口ポリエチレン株式会社に組織変更しました。昭和63年11月から日高市で工場の稼働を開始し、平成6年3月に新工場が竣工しました。平成7年6月には「軟包装衛生協議会」(プラスチックフィルムなどの薄い柔軟性のある軟包装材料の製造企業が主体となり衛生的な軟包装材料を食品・医薬品メーカーに提供することを目的に設立された協議会)の認定工場となり、平成14年3月には環境マネジメントシステムISO14001を取得しました。平成25年10月には太陽光発電システムを導入し、地球環境に配慮した工場となっています。
事業内容は、高圧ポリ・中低圧ポリ・リニヤーポリエチレン等のインフレーション法チューブ・フィルムの製造・印刷・製袋加工販売で、市販の規格袋、ごみ袋、レジ袋、買い物袋、ファッション袋のほか、食品包装用、繊維・日用品用、一般産業用の袋・フィルムや、米麦袋・肥飼料等袋などの重包装袋、加工用の原反(袋製品になる前段階のフィルム)などを製造しています。
「ポリエチレン製品の製造販売を通じて、なくてはならない従業員と共に業界オンリーワンを目指し、それに関わる全ての人々の幸せのために貢献するチームを目指す」を経営理念に掲げ、あらゆるポリ袋を、オリジナル既製品を問わず、用途に合わせて提案から製造までワンストップで提供し、お客様の一番欲しいものを一緒に考えて一緒に作っています。
当日は社長の井口さんと、工場長の黒滝さんに、会社の成り立ちやポリエチレンの加工の方法、製品の説明などを伺いました。ポリエチレン袋は、ビニール袋と呼ばれることが少なくありませんが、ポリエチレン自体はビニールとは全く別の物で、成型の方法も異なり、熱して溶かした原料を風船のように空気を入れて膨らませ、袋状に成形するとのことです。出口の大きさや空気の加減で大きさも強度も決まるので、さまざまな種類の製品加工に対応し、均一な強度に加工するためには、それぞれに合った機械を用意しなければならず、強度のある製品を安定して作るのは簡単ではないそうです。また、異物が混入しないように徹底的に管理しており、食品業界等で信頼をいただき大手コンビニエンスストアの食品工場などにもポリエチレンシートを納入しているとのことです。
その後、工場内をご案内いただき、害虫などが一切入らないように管理している様子や、主力製品であるNIシートなどの製造過程、シート状の原反を製袋する様子などを見学させていただきました。
お忙しい中ありがとうございました。
第5回 株式会社アイジェクト 平成31年1月22日(火曜日)
株式会社アイジェクトは、熱伝導率の高い銅やアルミの精密掘削加工を得意とし、医療機器部品、理化学機器部品、バッキングプレートなどの製造を行う企業です。
昭和45年4月、坂戸市で前身である戸口製作所を創業し、平成10年5月に日高市駒寺野新田に日高工場を新設、ここを本社工場とし平成11年9月に有限会社戸口製作所を設立しました。平成13年に工場を増築、平成18年に事務所、倉庫を建設し、平成20年10月に株式会社アイジェクトに社名変更しました。平成23年7月に環境省策定の環境マネジメントサイクルである「エコアクション21」を取得、平成25年2月に経済産業省の「中小企業IT経営力大賞」を受賞、平成27年6月に品質マネジメントシステムISO9001を取得しました。
事業内容は、銅加工、アルミ加工の他、これらの精密加工の技術とノウハウをいかし、薄膜技術(スパッタリング)に使用するバッキングプレートの製造、電子顕微鏡部品や透析装置のローターなど高度精密機器の部品製造加工、人工呼吸器や麻酔器、人工心肺など医療関連装置の部品製造加工などを行っています。その他、大学や大学院などの教育機関、官公庁、研究機関などからの依頼に応じ、実験・開発用の精密加工品や実験措置、治具等の設計、製作、組立を行っています。
「信頼とよろこびのモノづくり 私たちは、価値をつくります。」を経営理念に掲げ、モノづくりに「喜び」「誇り」をもち、技術開発・生産に使用される製品に携わり、お客様と共に社会に貢献できる企業として成長を続けています。
社名の「アイジェクト」は、Innovation(革新)IMAGINATION(想像力)IDEA(アイディア)IMPROVEMENT(進歩)の頭文字の「I」愛と、PROJECT(企画、設計、開発事業)チームの「プロジェクト」、TRUST(信頼)TOGUCHI(創業社名の戸口製作所)の頭文字の「T」から名付けています。
当日は社長の戸口さんと、部長の田中さんに、会社の沿革や設備、業務内容などについて説明していただきました。元々は個人事業で、薄膜技術(スパッタリング)に使用するバッキングプレートの製造を手がけていましたが、大手企業の研究所が近くにできて、電子顕微鏡のプロジェクトに参加するなど、取引が増えてきたことから、工場を建設するなど業務を拡大し法人化したとのことです。現在、売上構成は、医療機器が約43パーセント、理化学機器が約40パーセントと大多数を占めているということで、麻酔器や人工心肺など、人命を預かる高い精度が求められる機器の部品を、これまで培ってきた金属の加工や表面処理のノウハウを生かして製造しているとのことでした。また、先端技術産業分野では、世界最大級の電子顕微鏡の部品や大型低温無重力望遠鏡の部品なども納入しているとのことです。その他、人材確保の難しさや、IHIとも取引があるとのことで、県の農業大学校跡地周辺の開発などについて意見交換をさせていただきました。
その後、工場内をご案内いただき、旋盤やマニシングセンターを使った金属加工の様子や加工部品のサンプルなどを見学させていただきました。
お忙しい中、ありがとうございました。
第4回 株式会社アサヒブロイラー 平成30年12月3日(月曜日)
株式会社アサヒブロイラーは、鶏肉の加工・販売および鶏惣菜小売店の経営を行う企業です。
昭和32年に株式会社アサヒブロイラーを設立し、昭和36年に本社を麻布十番に構えました。東京オリンピックの年である昭和39年に当時ブロイラーの大型処理工場としては東洋一の規模となる埼玉工場を建設し、売店小売業を開始、百貨店に初出店しました。平成2年にパック工場を新設、平成4年に加工設備増強、平成15年に埼玉工場をリニューアル、平成17年に埼玉工場がISO14001認証を取得、平成22年に新埼玉工場が完成、翌年にISO22000認証を取得しました。本社は港区(麻布十番)から始まり、その後、数回の移転を経て平成26年に江戸川区(一之江)に移転し現在に至ります。
事業内容は、鶏肉の卸、鶏肉加工品販売、鶏肉製品の開発・製造の他、鶏惣菜店の直営などを行っています。鶏肉販売加工会社の先駆者として蓄積されたノウハウと他社に負けない調達力を武器に、徹底した品質管理に努め、安全・安心な製品を提供しています。日本全国の地鶏、銘柄鶏など多数を取り扱い、つくねだけでも30種類以上、焼き鳥は産地直送をメインに月間150万本を販売しており、「鳥麻」「麻布あさひ」などの屋号で大手百貨店を中心にエキナカ、サービスエリアなど国内で43店舗の鶏惣菜店を展開しています。
埼玉工場では、食品安全マネジメントシステムに関する国際規格であるISO22000認証を取得し、厳しい衛生管理基準に準じた体制を敷いており、従業員の知識の向上、食品安全の理解を深める従業員教育や、工場内を3つのゾーンに区分けをして二次汚染をしないようなレイアウトにするなどの管理、異物混入を防止するための作業服等の管理、加熱不良や異物混入のチェックや細菌・アレルギー物質の検査体制などを整えています。
当日は、常務取締役の桑原さん、工場長の土井さん、総務課長の永井さんにご対応いただきました。最初に土井さんから概要について説明していただきました。現在、パートタイマー、アルバイトを含め約100人が働いていて、つくね・肉だんご製品、下味をつけて揚げるだけの状態の唐揚げなどの鶏肉タンブリング製品や、今の時期はクリスマス用のローストレッグなどの加熱鶏肉製品を生産しているとのことです。
その後、工場内を案内していただき、主力製品である、つくねの串打ち、急速冷凍、袋詰め、検査の工程を見学させていただきました。会社のご厚意で、特別に製造工程中の出来たて・冷凍前のつくねを試食させていただきました。
見学後は、埼玉工場で製造したつくねと鶏の唐揚げを試食させていただきながら、情報交換をしました。唐揚げは直営店で販売している、弓削多醤油の木桶仕込み醤油を使った、「匠のしょう油から揚げ」と新製品のゆず胡椒味の2種類をおいしくいただきました。鶏肉業界ではパイオニアで、日本初のフライドチキン専門店を開店したり、海外での鶏肉加工指導を行った他、昭和39年の東京オリンピックでは選手村に生の鶏肉を納入した実績があるとのことです。工場周辺の清掃活動など、地元貢献にも力を入れているということで、とてもありがたく感じています。
お忙しい中、ありがとうございました。
第3回 モスト技研株式会社 平成30年8月9日(木曜日)
モスト技研株式会社は、梱包用の緩衝材、内装材、外装箱等の包装設計、緩衝設計から試作製造販売まで一貫して行う企業です。
昭和62年3月、東京都練馬区に創設し、平成3年3月に川越市に本社を移転しました。平成8年9月に日高市高萩に日高工場を設立し、平成9年1月に本社業務を日高工場に移転しました。その後、現在の日高市旭ケ丘に埼玉本社工場を新設し、各工場業務を集約し、平成19年5月には加工設備を増設しました。現在は、日高市の埼玉本社工場、日高工場の他、川越市に本社事務所、新潟県小千谷市に新潟工場があります。
事業内容は、特殊強化段ボールの製函一式、紙パレット、重量包装用段ボール箱や発泡スチロール等梱包用緩衝材、内装材の設計、試作、試験、製造販売の他、梱包用資材の卸販売、建設用断熱材の加工販売、梱包、発送作業の受託などを行っています。特に精密機械、重量のある機械部品の輸出用梱包材の設計製造を得意としていて、独自の緩衝設計と試作から検査、製造まで一貫生産による信頼性の高さやオーダーメイド、多品種小ロット、短納期により顧客のニーズに応えています。
この他、段ボールパレットの特許構造をベースとして、平成22年に段ボール組立式ベッドを開発し、平成23年から発売を開始しています。どこでも誰でも簡単に組み立てることができ、軽くて大変頑丈で耐久性のあるベッドです。その後、棚、イス、テーブルや災害時の簡易トイレなど、段ボール製の家具を次々と発表し、震災の被災地にも救援物資として提供しています。
現在、全社員数は50人で、うち日高工場では30人が働いています。ほとんどが日高市および近隣に在住していて、パートタイマーは全て日高市に在住です。
当日は社長の見崎さんに、段ボール製のイスはとても頑丈で、とても恰幅がよく、市販のイスでは壊れてしまうという人にも問題なく使ってもらっていること、段ボール製ベッドや簡易トイレなどは、東日本大震災などの被災地に支援物資として送り、最近では今年3月に日本赤十字社を通じて広島県に送っていたトイレが今回の豪雨災害で役に立っていること、ベッドやトイレの他、靴入れの需要が多く、軽くて人がぶつかってもけがをしにくいとのことから、保育所・幼稚園で物入れとしても喜ばれていることなどを伺いました。
主力商品である梱包材については、設計から自社で行い、小ロット多品種で社員がオーダーメイドで顧客の要請に応じ手作りしているため、アイテム数は3万点にも上るとのことでした。また、大手家電メーカーのオーダーで設計した梱包の技術がメーカーからの提案で特許を取ることができた際、特許料はいらないので仕事が欲しいと申し出たところ、それ以来ずっとそのメーカーの仕事が続き、おかげで不況の時も乗り切れたとのことでした。
日高市に工場を作って約20年、今の地に工場を作って約10年経ちますが、日高市を最終地として、これからも地元にいろいろと貢献していきたいとの言葉をいただきました。
その後、工場長の嶋田さんに工場内を案内していただき、段ボールのカット工程や梱包箱の組立工程などを見学させていただきました。
お忙しい中、ありがとうございました。
第2回 ニチバンプリント株式会社 平成30年7月10日(火曜日)
ニチバンプリント株式会社は、独自の粘着技術をベースに躍進するニチバン株式会社のグループ会社として、粘着ラベル・テープなどの生産加工および販売を行う企業です。
昭和40年10月、埼玉県北足立郡鳩ヶ谷町(現在の川口市)にプリントテープ株式会社を設立し、セロハンテープ、両面テープ等の生産を開始した後、昭和55年12月に関連会社である日高包装株式会社と合併し、社名をニチバンプリント株式会社と改称しました。昭和63年には川口工場の全生産設備および本社機能を新設した比企郡小川町の小川工場に移転、平成22年から事業所統合のため生産部門を小川工場から日高工場へ移設を開始し、平成27年には全生産部門と本社機能および営業部門の日高地区への移設・移転が完了しました。
事業内容は、ニチバンブランドのオフィス用のラベルシール、粘着テープ、ふせん紙などの生産加工および販売の他、粘着テープや紙・布・プラスチックフィルム等を巻き取る紙管なども製造販売しています。また、粘着テープ製造技術を応用し、多種多目的な産業用粘着シートも生産しています。
当日は社長の山口さんに、会社の概要などについて伺いました。従業者数は現在111人で、約3割は日高市在住とのことでした。また、ニチバンプリント株式会社は主にニチバン埼玉工場で製造した元巻きのテープ等を裁断、巻き替えをして製品化する役割を担っていて、オフィスでよく目にするラベルシールなどは全てこの工場で作られているとのことでした。
その後、生産部長の松浦さんに、工場内を案内いただき、粘着テープのカット・巻き取りの工程や、ラベルシールの打抜き工程、紙管の製造工程などを見学させていただきました。
お忙しい中、ありがとうございました。
第1回 株式会社スギヤマ 平成30年5月15日(火曜日)
株式会社スギヤマは、青果卸業としてごぼうを主体に創業以来60年、仕入れから加工、商品納品まで自社工場にて一貫した生産を行う企業です。
昭和21年、埼玉県吾妻村(現在の所沢市)に杉山種苗店として創業した後、東京都東村山市に杉山種苗として設立、昭和33年に店名を杉山商店に変更し、青果部門に移行しました。昭和52年に杉山青果有限会社を設立、平成2年に株式会社スギヤマを設立し、平成20年に事業拡大のため現在の日高市に本社、工場を全面移転しました。平成26年に第2工場の生産を開始したほか、平成29年10月には2階建てで延べ床面積2,352平方メートル、約1,000トンも貯蔵できる低温冷蔵庫が完成しました。平成22年には埼玉県「彩の国工場」に指定されたほか、平成24年には埼玉県障がい者雇用優良事業所の認定を受けています。
「彩の国工場」とは、地域に開かれ、地域に愛される工場づくりを進めるため、技術力や環境面で優れている工場を、埼玉県知事が豊かな彩の国づくりの協力者(パートナー)として指定するものです。
事業内容は、洗いごぼうや泥ごぼう、長いも、にんにく等のパッケージ野菜やきんぴらごぼう用の千切りセットなど、野菜の加工販売などを行い、外食産業、スーパーマーケット、ホテル、給食、惣菜メーカーなど、さまざまな業者向けに仕入れから加工、商品納品まで一貫した自社工場生産ラインにて品質のよい製品を提供しています。国内外各地から契約栽培・生産委託・産地直送・産地市場直接買い付けなどにより厳選された素材だけを調達しているほか、ごぼうの日本一の産地である青森県の三沢市においらせ事業部を、八戸市に八戸低温冷蔵センターを設置し、タイムリーな受注出荷を可能としています。
また、平成22年には異業種連携による新製品開発を進める県の「農商工連携支援制度」を活用し、県内在住で、都内の人気洋菓子店で活躍するパティシエと、川越市のさつまいも農家、都内の菓子製造企業との連携により、川越産のさつまいもを練り込んだ「川越蔵プリン」の販売を開始しました。
日高工場には現在106人の従業員が勤務しています。このうち日高市在住者は13人です。売上高は40億円を超えており、圏央道狭山日高インターチェンジ近辺という好立地を生かし、事業拡大を続けています。
当日は社長の杉山国弘さんに、会社の沿革や工場の概要などについて伺いました。特に、昨年完成した冷蔵庫は積み替えのコストや時間の節約に役立つだけでなく、高湿度を保つことで、長期間の野菜の保存が可能となっているとのことでした。また、昨年は台風の影響により野菜の価格が高騰し、カット野菜の売り上げは大きく伸びた一方、売価は一定のため利益的には苦しかったとのことでした。
その後、営業統括部長の杉山光伸さんに、工場内を案内いただき、ごぼうを中心とした野菜の加工の模様や、冷蔵庫でのごぼうの保管状況などを見学させていただきました。
お忙しい中、ありがとうございました。
(注釈)氏名等の「すぎやま」の「すぎ」のつくりは、正しくは「久」になります。
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更新日:2019年03月06日