旧新井家住宅
旧新井家住宅の調査概要
旧新井家住宅は巾着田を望む小高い場所に位置しています。背後の屋敷林とともに巾着田から日和田山に続く景観に溶け込み、道沿いに築かれた長い石垣積みも目を引く存在です。
敷地内には母屋と客殿を中心に、納屋、ふたつの土蔵、築地塀、石垣、井戸などの付属屋が建てられています。
母屋(おもや)
木造の入母屋造(いりもやづくり)の2階建で、平成5年に茅葺きから瓦葺きに改修されています。桁行(けたゆき)23.2メートル、梁間(はりま)8.2メートルです。
建築年代は江戸時代末から明治時代前半と考えられますが、建物は数度にわたる改修で、当初形式が大きく改変されています。
平面形式は六間取(むつまど)りで、各部屋の規模が大きいことが特徴です。西側の2部屋は、天井が高く、床(とこ)を設け、奥の間は床の左右に付書院と違い棚を配する最も格式の高い座敷飾を備えたものとなっています。
建物中央部には式台(しきだい)が設けられていた痕跡を発見しました。式台は高貴な客を迎えるための格式の高い施設です。
母屋内部
客殿(きゃくでん)
木造の入母屋造(いりもやづくり)の2階建で、平成10年に瓦を葺き替えています。梁行(けたゆき)12.8メートル、梁間(はりま)5.5メートルです。
建築年代は新井家に残る古文書と建築様式から明治39年に建築されと考えられます。
1階中央に式台を設け、屋根は伝統的な式台や車寄せに見られる向唐破風(むこうからはふ)で、彫り物を配して格式高い構えを造っています。南側には客間を設けて、床(とこ)、違棚、付書院の座敷装飾を施しています。本格的な書院造りを意識した造作となっています
客殿内部
付属屋
更新日:2017年03月01日