地域物語 第19編「万葉びとに思いを馳せる」
ー日高市の万葉歌碑ー
市内には巾着田と、大谷沢地区にあるJAいるま野高萩南農産物直売所駐車場の2箇所に万葉歌碑があります。いずれの歌も万葉集巻十四「東歌」に収めらています。
万葉集は 1200 年余り前、奈良時代 770 年ごろに編纂された日本最古の歌集で、皇族や貴族だけでなく、防人や農民まで、幅広い層の人々が読んだ和歌が 4500 首以上収録されています。
歴史名勝No58「万葉歌碑(高麗錦)」
巻十四―三四六五、未勘国相聞往来歌百十二首の一首
「高麗錦の紐を解いて共寝をしているのに、この上、一体どうしろというのか、無性に可愛くてしかたがない」と歌っています。
(注釈1)高麗錦=朝鮮半島北部の高句麗で、さまざまな色糸を 用いて織られた高級絹織物です。
(注釈2)未勘国 = 国名が分からない。
(注釈3)相聞往来歌 = 恋の歌
巨麻尓思吉( こまにしき)
比毛登伎佐(ひもときさ)
気弖奴流我(きてぬるが)
倍尓安杼世(へにあどせ)
呂登可母安(ろとかもあ)
夜尓可奈之(ややかなし) 伎(き)
歴史名勝No59「万葉歌碑(大谷沢)」
巻十四―三三七八、武蔵国相聞往来歌九首の一首
「入間道のおほやが原のいはゐ蔓を、引けばぬるぬるとよってくるように、あなたと私の仲を絶やさないでください」と歌っています。
(注釈1)いはいつら = 沼地などに生える水性植物
伊利麻治能(いりまじの)
於保屋我波良能(おほやがはらの)
伊波為都良(いはいづら)
比可婆奴流奴流(ひかばぬるぬる)
和尓奈多要曽袮(わになたえそね)
更新日:2024年03月21日