文化財ニュース 王神遺跡の整理作業進行中!【令和6年10月8日掲載】

更新日:2024年10月08日

文化財を適切に保存し、次の世代へ引き継いでいくため、日々文化財の調査を進めています。

近年実施した文化財の調査や遺跡の発掘調査について紹介します。

整理作業進行中!

現在、県立日高高校の周辺では区画整理事業の工事が進んでいます。区画整理地内には王神(おうじん)遺跡や旭ケ丘遺跡などの遺跡が存在しているため、工事の始まる前に発掘調査を実施しました。

現地での発掘調査は令和3年1月から始まり、約1年後の令和4年3月に終了しました。王神遺跡では奈良・平安時代の竪穴住居跡が30軒以上見つかり、旭ケ丘遺跡では日高と川越を結んでいた「高麗街道」と思われる道路跡が見つかるなど、多くの調査成果が得られました。

発掘調査によって得られた成果は、発掘調査報告書としてまとめられ、公開されます。皆さんに発掘調査の成果をご覧いただくため、現在整理作業を進めています。

今回は現在進行中の整理作業の一部をご紹介します。

洗浄

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洗浄作業の様子

遺跡から持ち帰った土器の破片は泥が付着したままなので、ブラシで水洗いします。ゴシゴシと強い力でこすると土器の表面を傷めてしまうので、コンコンとブラシで叩くように洗うのがコツです。

土器のなかには色が塗られていたり、使用時に付着した残留物が残っている場合もあります。そういったものは洗い落とさないよう、注意する必要があります。

注記

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注記作業の様子

その遺物がいつ、どの遺跡のどの場所から出土したものかといった情報を、土器の破片一つ一つに直接記入します。細い筆を使って、小さな破片に目立たないよう小さく、かつ読みやすいよう丁寧に書き込む、作業員の腕の見せ所です。

記入したら、うえからニスを塗って文字が消えないようにコーティングします。

接合

遺跡から出土する土器はほとんどの場合、ばらばらに割れてしまっています。土器の破片をパズルのように組み立て、もとの形に復元していきます。土器それぞれの色や厚さ、文様などをヒントにしてつなげていきます。

つながった土器は接着剤を使って接合していきます。使用している接着剤は接直後もやり直しが必要なときに取り外すことができるので、土器の接合の際には重宝します。

破片の見つからなかった場所には、石膏(せっこう)を使って補強することもあります。

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接合作業の様子

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大型の土器の接合作業の様子

整理作業はこれだけでは終わりません。

接合してもとの形に復元された土器や、その他の出土遺物の図面作成や写真撮影、現地で作成した図面や写真の整理、報告書の執筆などまだまだ続きます。

今後整理作業が進みましたら、そちらの作業の様子もお伝えします。

発掘調査で見つかった資料の一部を紹介します!

王神遺跡で出土した土器をきれいに洗ってみると、墨で文字が書かれた土器(墨書土器:ぼくしょどき)が見つかりました。

また、ヘラのような工具で文字が刻まれた土器(刻書土器:こくしょどき)も見つかりました。

これまでも王神遺跡周辺からは墨書土器がたくさん出土しており、また、墨で文字を書くための硯(すずり)なども出土しています。

墨書土器や、刻書土器が見つかるということは、王神遺跡周辺に文字の読み書きができる人がいたことの証拠と言えます。当時、読み書きのできる人は役人などの限られた人たちだけだったので、そのような知識のある人が王神遺跡周辺に住んでいたと考えられます。

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墨書土器

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刻書土器

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